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Channel: スポーツナビ+ タグ:東慶悟
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FC東京観戦記2014其の弐~大人になろう~

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 チームに危機感が芽生えたこと――。 それが唯一の収穫だろうか。  忌まわしき2010年の記憶を掘り起こすつもりは毛頭ない。ただ、城福浩監督就任以降、一貫して継続していたポゼッション志向のサッカーから、これほどまでに守備に重点を置いたサッカーへシフトチェンジしたのだからすぐに結果を求めるわけにはいかない。なぜ守備を重要視するようになったのか?大人のサッカーをするためである。自分たちの良さを出すためにしてきた努力の内容を、相手の良さを消すためのものにほんの少し費やすためである。これまで年に数回あるリーグ戦の大一番で勝ち点を取りこぼしてきた要因は間違いなくその部分であって、だからこそ「相手の良さを消す」ことに関してはサッカー界においてナンバーワンのイタリア人に指揮権を任せたわけである。 柏戦で当ブログでは、あくまで「柏対策」として早いタイミングでトップに縦パスを入れることやロングボールを多用することを推進しているのでは?と書いた。しかしそれは柏仕様などではなく、純粋に今シーズンの東京のスタイルであったようだ。ただ、それを踏まえてもつまらないパスミスで自滅する点や、一部の有識者が不思議に感じている高橋秀人の一般的なアンカーの常識を超えた猪突猛進なプレーや、決してウイング適性があるとは言えない渡邉千真を長い時間サイドに張らせていることなど、ナゾは確かに多い。ポポヴィッチ体制の良い点を削ぎ落としたのに結果的には悪かった点だけ拡大しているという穿った見方もしてしまいたくなる。  4-3-1-2から4-4-2に変え、4-4-2からまた4-3-1-2に変えたと思ったら練習で全然やってない3-4-3(3-4-1-2)になってまた4-3-1-2・・・。ちなみに川崎は何も変わっていなかった。その上で東京は後手に回るシステム変更をしてばかり。選手は振り回されたであろう。守備は相手があって成り立つものなのに、「自分たちがやりたい守備」に先走りすぎた感がありありだ。  僕は開幕前、今シーズンの東京の戦いぶりにについて友人知人に問われた時、こう答えていた。 「めちゃくちゃ良くなるか、めちゃくちゃ悪くなるか、そのどちらか」 開幕4試合を終えて、後者であることは間違いない。時が経って前者の流れになっていくことを祈るばかりだがはっきり言って今年に関しては我慢のシーズンだと管理人は思っている。僕が少し贔屓して見ているマンチェスターユナイテッドを見る目線と同じである。スタイルの変更。チームの若返り。世代交代。一朝一夕で結果は出ない。ましてやリーグ戦開幕4試合目ともなればなおさら。「何を弱気な」と思われるかもしれないがサッカーは1年で終わるわけじゃない。2010年、屈辱を味わいながらも2012年を良い年で迎えられたように。  よっちも将来性十分とはいえルーキーである。タマも2年目。去年はプロの世界の“何たるか”を知らず新人さながらのドタバタしたプレーぶりも多々あった。河野広貴も加入3年目ではあるが、前監督との反りが合わずこれまでの出場機会が少なすぎた。米本にしたってあんなミスをするのは初めてで、去年は秀人も同じようなミスをして負けた試合もある。彼らの伸びしろはまだまだある。プロフットボーラ―としてはこれから完成形を見る選手で現在、フィッカデンティ監督が志向するスタイルを見事に吸収すれば東京にとってかけがえのない存在になり得る選手であることは疑いようがない。  ただ、それを差し引いても“迷い”を感じる選手は少しの時間だけピッチから遠い位置でチームを見つめ直してほしいとは思っている。 ウイング的な起用に四苦八苦している渡邉千真。50分、西部がファンブルしたボールを拾ったシーンはフォローに入った東にワンタッチで出していれば一矢報いることができたはずだ。決めていれば1対2。試合の行方はまったく分からなくなっていただろう。 東慶悟に関しては神戸戦での大失態もあり川崎戦での奮起を期待していたのだが、リンクマンとしての質は、お世辞にも高いとは言えない。彼は味方にとっては“頼もしい仲間”かもしれないが敵にとっては“嫌な選手”では断じてないと思う。昨シーズンに加入して以来そういうレベルの選手になっていない。この日もDFラインからボールを引き出す動きに終始し、際立ったボール奪取も、マーカーを引き剥がす果敢な突破もフィニッシュに絡む場面も全然ない。セットプレーでは右足キック担当ではあるが、可能性を感じる質のボールは終ぞなかった。90分間ピッチに立っていたことが不思議なパフォーマンス。一番の問題は闘う姿勢を感じないこと。ニュウさんを入れるなら秀人との交代ではなく、彼と代えてほしかった。 アンカーの高橋秀人が攻守に自由人として振る舞っている現状のシステムは、秀人の脇を固めるインサイドハーフの役割が肝になっている。昨日の場合は中盤左の東と、右の米本。マッシモが2人に求めているのはアンカーのピルロを攻守においてサポートするビダルとマルキージオのようなプレーの質と量だろう。ヨネに関してはナビスコの鹿島戦を見る限りはそれに近い素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたが東に関しては残念ながらまだまだ。僕は2014年に関しては、東は簡単には褒めないぞ。  そんな中での「危機感」である。 前監督、その前の監督、その前の監督もそうだったがこれまでの東京の指揮官はハーフタイムにカミナリを落とすような性格の人が多かった。マッシモはあまりそういう監督のようには今のところ見えない。つまりは、ピッチ上の指揮官が必要なのである。川崎戦で一番トーキョーを鼓舞していた選手は負傷のため後半のピッチには立っていなかった。元来、チームの先陣を切っていたのがブラジル人であったというカラーもあるが、そろそろ勇猛なジャパニーズが率先して自然発生的に声を出してほしい。ルーコンの抜けた穴の大きさ、エドゥーへの依存度が高さも痛感した試合である。  今は確かに、一寸先は闇、の状態である。リーグ戦未勝利という状況は「このサッカーを継続していいのか」と不安に拍車をかける。それでもメンタル面や守備面の修復を施し、各個人が1対1で強さを発揮すれば、こんなにダイナミックで楽しいサッカーはない。攻撃だけでなく、守備でもイニシアチブをとるマッシモトーキョーの姿。ほぼベストメンバーの鹿島に見せつけたあの躍動感が、いつかチームの平均値になる日が来る。その期待を継続して「期待して損した」とか「裏切られた」とか思うのは、チームではなくファン・サポーター個人の問題である。解任論なんてもっての外。それでも試合後のブーイングで、みんなが立ち位置を再確認したはずだ。 ファン・サポーターならチームと同じ道を歩むことを拒んではいけない。僕たちも苦しむべきなんだ。未知なる強さを手に入れるために。   ●3月23日(日)J1第4節 FC東京0-4川崎フロンターレ          エドゥー6           千真4         (平山5)               三田5.5        東4                 米本4.5                            (河野5.5)               高橋秀4.5    太田5.5                     徳永4.5            森重4.5    加賀4.5                    権田5                                フィッカデンティ監督3.5

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